甘い嘘…金カム210話感想。

※うろ覚え文と絵です。重い…


ゴールデンカムイの主人公は杉元佐一。

しかし、話の根幹というか話を動かしているのは…杉さんではないです。残念ながら。以前からこのサイトで書いてますがやっぱりそうなのね…。


大泊。鶴見中尉が明日到着する。軍曹は少尉に伝えた。

黙って一枚の写真を見る鯉登少尉。軍曹と鶴見中尉を写した写真。中尉を熱烈に慕う少尉は軍曹の顔に自分の顔写真をあてはめていたが…今にも剥がれ落ちそうだ。

「鶴見中尉殿が来られる前にお前に聞いておきたいことがある」

「…はい」

鯉登少尉殿の渾身の激白が始まる。


亜港の病院で隻眼の尾形は手術後、医師を脅し鯉登少尉を殴らせ拳銃を奪い少尉の頭に銃口を向けた。バルチョーナク(ボンボンが)とロシア語で言った。

(ここから少尉は少年時代の回想に入り誘拐事件を思い返す)

少尉の顔を蹴った後、奴はさらにこう言った。

「今度鶴見中尉に会ったら ”満鉄”のことを聞いてみろ」


満鉄…南満州鉄道株式会社。日露戦争後、ポーツマス条約によってロシア帝国から得た満州の鉄道権益。本質は経営の仮面をかぶった東北アジアへの日本領土の拡大だ。その計画は日露戦争の途中ですでに始まっていた…

しかし、

陸軍内部には経営はうまく行かないと激しく抵抗するものがいた。

第七師団長 花沢幸次郎中将だ。


花沢閣下と父は親しい友人。満鉄のことは父からも聞いている。

花沢閣下が自刃することによって満鉄の計画は突き進んだ…


「戦友たちは今も満州の冷たい土の下 満州が日本である限り彼らの骨は日本で眠っているのだ」鶴見中尉殿は日露戦争から帰還されてこう言っていたな?

花沢閣下の死に鶴見中尉が関わっているということなのか?


尾形百之助は父を自刃に追い込んだ中央に不満を持ち鶴見中尉殿の政変計画に加担していたが、どこかで真相を知り謀反を起こしたと考えれば辻褄が合う。そして尾形がなぜそれを私に伝えたのか…


尾形が言った”満鉄”→”中尉が花沢閣下の自刃に関わっていないか説”…鯉登少尉の鋭い推理に感服です…鋭いなあ…


しかーし、その推理に待ったをかける軍曹。我々を混乱させるためならあいつはなんだって言いますよ。どうしていまさら尾形の言うことを真に受けるんですか。

少尉は答える。「バルチョーナク」。

自分を拉致監禁した覆面犯人の中に尾形がいたはずだ、と。

あれはロシア人で死体を見たでしょう?と軍曹。

しかし引き下がらない少尉。

「あの覆面の中にお前もいたのか?月島!!」


・・・・。

犯人とされたロシア人の死体を運んだのは軍服姿の月島と尾形。月島も疑いがかけられた…。

軍曹は冷静になってくださいと促そうにも少尉の告白は止まらない。

私たち親子に芝居を打った、政変転覆時には父の大湊水雷団を利用したかった、花沢閣下と尾形のように私たち親子もコマにしようと?

尾形が満鉄を私にほのめかしたのはこういうことを知らしめたかったのだと。そうだろう月島!

それでも月島軍曹は冷静に「馬鹿げた被害妄想です」と告げる。


しびれを切らした少尉は直接本人に聞く、父上の前で全部明らかにさせるッ!と豪語する。


「あなたたちは救われたじゃないですか」

軍曹は呪うように告げた。

そして今度は月島軍曹の独白のような語りが始まる…。

(追記:この時の軍曹の顔の描写…藤子不二雄A先生の魔太郎か、つげ義春さんの漫画思い出した…)


尾形も満鉄と花沢閣下の関係まで知っていたとは てっきり中央に鶴見中尉を差し出すつもりかと‥ 何が不満なのか…父親を殺せてアイツも満足したはずだ

少尉「尾形が…(閣下を)殺した?」(え?自刃じゃないの??)


軍曹は(鯉登親子のように)自分も手間がかかった芝居をやられたと話す。

※軍曹の騙された話は本編を読んで頂きたい‥軍曹の故郷、佐渡のいご草ちゃんの生死…。

こんな手の込んだことをされても月島は別にいいんですと。

利用されて憤るほどの価値など元々有りませんから。私の人生には。


軍曹が語る中尉の目的とされるのは…金塊を手に入れ軍需産業育成、政変を起こし軍事政権を樹立、第七師団地位向上、満州を日本の領土に。


しかし彼は「甘い嘘」で救いを与えるのがお得意ですので本当の目的はわかりません。


少尉「月島…お前はどうして…」


何かとんでもないことを成し遂げられるのはああいう人でしょう?

私は鶴見劇場をかぶりつきで観たいんですよ最後まで


ここからがほんに恐ろしい言葉である…

「今聞いたことは全て胸にしまっておいたほうが懸命です。いざとなれば鶴見中尉はあなただって平気で消す。 そして その汚れ仕事をするのは私です」


全てを聞いて鯉登はへたり込んでしまう。立てないほどの衝撃と驚きと恐ろしさが込み上げてきたのだろう。今まで忠実に従い一緒に戦ってきた部下が目の前で「消す」だの「その汚れ仕事は自分だ」と言ったのだから。あなたのお命は我々が握っているんだと。


この場を乗り切るには今までのように中尉に熱烈に慕う”鯉登少尉”でなければいけないんだろう。なので少尉は「鶴見中尉スゴーーーイ!!」と叫ぶしかなかった。中尉”殿”ではなく。

鹿児島で偶然出会ったのも仕込みってことではないか?あんな誘拐劇までして…そんなに必要とされていたなんて嬉しい!あああ、早く会いたい!

ぐるぐると寝そべりながら地べたを回る。

‥少尉、渾身のしらばっくれである。


芝居には芝居。何も言わない。言えない。少尉…。

月島は普通の表情でそれを見ている。


一方、家の中でアシリパと杉元は今後について話していた。

杉元は鶴見中尉と金塊探しをするのか。金塊が見つかったらアイヌはどうなる?

何も言えない杉元。ただ、金塊を見つけたらアシリパさんを追うものはいなくなるとしか…。


中尉を乗せた船は大泊に着いた。

菊田や宇佐美の姿が見える。そして他の軍人たちも…。

まるで戦いが始まるかのようだ。

網走監獄の時を思い出す…。



( ;∀;)重苦しいお話でしたね。210話。

ゴールデンカムイって物語はギャグ回やグルメ回を省くと、こういう血なまぐさい怖い話が続くんだと思い知らされた回だったのではないでしょうか。最も私はこういうのが読みたかったので嬉しかった。本筋の話が進むと面白い。


さて、ちょっと新しい情報が出てきたので整理しましょう。自分的に。

まず尾形ですが…

・陸軍入隊、(ロシア語習得は入隊してからだろうか?)

・鯉登誘拐犯の一人に加わる 覆面姿でバルチョーナクと鯉登につぶやく

・弟を戦争中殺害。中尉はやんわり殺さない方向の内容を尾形に告げるも…

・戦争後、中尉の命(めい)を受けてか実父の花沢閣下を自刃に見せかけて殺害。このあと中尉に殺害成功報告するも(たらしめが)と謀反の言葉を心の中で呟く尾形。

・そして鶴見から離反。軍から脱走。キロランケと共謀。

・ウィルク殺害、キロとアシリパ奪取し樺太へ。

・アシリパから暗号聞き出し失敗、アシリパ殺害失敗、アシリパの毒矢が右目に当たり杉元の手により右目喪失。

・手術後、逃走中…(イマココ


閣下が反対していた満鉄経営。これを尾形はどこで知ったのか。もしかして花沢閣下暗殺しに行ったときに父から直接満鉄の事を聞いたのかもしれない…それか暗殺前に中尉から聞いていたか…。

父を暗殺しに行くとき、尾形は中尉からどういわれて行ったのか、だ。尾形の不遇な生い立ちを知って自分よりも勇作を愛した憎き父を討伐せよ、とか…失った軍神を皆は息子の尾形に見るはずだ…と。「甘い嘘」と「たらしこみ」で尾形の心を動かしたのか…。

どうもここらへんのことがまだ何かありそうで気になります。

父を暗殺後、鶴見信者ではなくなっているから…。


何度も書いてますがゴールデンカムイの主人公は尾形百之助かな。


↑の絵のセリフは私の妄想です

病院で鯉登ちゃんにボンボンが、と言った時、鶴見さんのことも言うだろうと思ってたけどその通りになってほっとしてます。中尉に盲目的に慕う鯉登ちゃんの姿に尾形は滑稽に映っただろうけど、どこかで「目を覚ませ」という気持ちがあったかなと。どうでもいい相手なら何も言わないけど尾形は過去の妄信的だった自分の姿を鯉登に見たのかな…。



月島軍曹ですが…

いご草ちゃんの真相はわからないです。どうなんでしょうね。月島の大切な人を利用してまで牢から父親殺人犯の月島を救い出す。そのためにはロシア語を勉強しろと。

元々死刑囚だったので命は無いものと思ってるんだろう月島は。だから鶴見劇場のために身を呈して何でもやっていく。例え少尉を殺すことも。

月島も尾形も父親はもういない。だが少尉の父はまだ存命だ。月島の言うように”救われた”のだ。しかしこの後どうなるかはわからない…


これから少尉と軍曹の仲はぎこちなくなっていくだろう。何も知らないまま過ごすのと全てを知ったまま過ごすのとどっちがいいのだろう。少尉は尾形と話したいと思ってるかもしれない。



この漫画は各キャラの背景物語が多いし、時系列がバラバラだし、昔の話が今それ?持ってくるの?っていうのも多いし…(コイトちゃん過去とか偽人皮とか)読んでいてすっきりしない。でもそこが読み手は推理したり妄想したり楽しむんですよね。


尾形の目的は何だろう。杉元の言うように引っ掻き回したいだけかな。

鶴見劇場が壊れることを望んでいるのかな。


長くなりました、ではまた。

※間違ってたら寝てないんだな猫ちゃんて思ってください。ええ、寝不足です


カシス's Ownd

自由気ままに描いたゴールデンカムイ等の二次創作掲載。※無断で転載盗作等お断りします。

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